ユーザーによるクチコミ・評価
グリーンフィッシュ 2008/08/17
韓国の男優、ハン・ソッキュ。1998年の『8月のクリスマス』で注目を集め、翌年の大ヒット作『シュリ』、そして『カル』で大スターの仲間入りをする。最新作「ヌネヌン ヌン イエヌン イ(目には目を 歯には歯を)」も良い興行収入を得ている。
そのハン・ソッキュが、ヒットする前に主演したヴァイオレンス・ドラマが本作、『グリーンフィッシュ』である。
共演も、今や売れる韓国映画には絶対出ているのではと思わせるような名優、ソン・ガンホなど、印象深い俳優達が脇を締めている。
そして、監督は本作でデビューした『ペパーミント・キャンディー』『オアシス』『シークレット・サンシャイン』の鬼才、イ・チャンドン。彼は世界的に高い評価を受けていて、韓国では彼の作品のDVDボックスも出ている。
さてここまでが本作のスタッフ・キャストの見所で、これから私が作品自体を見て思った事を書く。
本作『グリーンフィッシュ』で、暗黒社会に引きずり込まれていく主人公のありさまはとても悲惨だが、カメラは大げさには映さずとても静かに描いているため、やりすぎなところが無いように見えた。
そして暴力のシーンだが、普段これ以上の暴力シーンも見ている私でも、目を覆いたくなるのは、ストーリーも描き方もとても現実的だったからだろう。
ラストシーンもあまり悲惨な撮り方はせず、「そのまま」を撮っているため、見事にバランスがとれていて、ちょうど良く作品の悲しさみたいなものが心に染みた。
とにかく、この作品をただのアクションものと思っている方達は、ぜひ借りてきて見ることをお勧めする。
ボロボロになった主人公が兄に電話するシーンで登場する「緑の魚」のエピソードはとても切ないものである。
3人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
今の韓国状況を記録した作品と評価されるだろう。 2007/10/30
今の韓国状況をよく描いているのだろう。
今後、韓国の今の時代を振り返るときには、必ず参考にされる映画。
現代を記録している。見事。
しかし、主人公を演じるハン・ソッキュは、ぼくの知人そっくりで驚いた。
ボスは、ぼくの恩師そっくり。
情婦は友人そっくり。
偶然とはいえ 知人たちが演じていると錯覚してしまった。
それだけ 親近感がわいたのだ。
7人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
マクトンとは末っ子の意味 2006/01/14
機転と忠誠心でのし上がっていくチンピラをハン・ソッキュ氏が演じています。
同じ1997年の主演作に、やはりチンピラに扮した「ナンバー・スリー」という映画もあります。
ストーリーは全然違うのですが、どうしても比べてしまいたくなります。
悲劇的な結末を迎える本作の方が印象的ですね。
8人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
韓国ノワール 2004/06/08
香港ノワールとはジョン・ウー監督が1986年発表した『男たちの挽歌』に始まるとされる、闇社会を舞台としたギャング映画に充てられた造語である。登場するのは仁義に厚い殺し屋・どこかピュアな部分を残すヒロイン・物静かだが危険なボス、小道具は例えば二挺拳銃・サングラス+ロングコート、暗い照明・スローモーションの多用などと基本的にかなりスタイリッシュなものだ。闇社会を舞台にしているという意味でこの映画はジャンルとしては「韓国ノワール」と言っていいのかもしれない。(実際そういう人もいる)しかし私たちがグリーンフィッシュを見て感じるのはスタイリッシュな映像のカタルシスではない。そこには何かというとサンドバックの様に殴られる兵役帰りの冴えない男マットン(ハン・ソッキュ)がいるだけだ。その哀しみの質もまた違う。香港ノワールのそれはヒロイズムに浸ることのできるものだが、本作のそれは空しさばかりが先に立つ。グリーンフィッシュとはバブルに突っ込んでいく韓国社会の空しさが、舞台をソウルに設定したことにより、映画の中に忍び込んでしまった作品なのだ。人々は破滅的に何かを失うのではない。破壊はビル再開発のように徐々に忍び寄り、人々から体温を奪うように何かを奪ってゆく。その言い知れぬ不安が、この映画の後味にカタルシスを許さない。マットンは人を殺しても泣かない。しかし受話器を握り締めながら、戻れない過去、緑の魚を追いかけた過去を兄と話す時に号泣するのだ。その空しさを埋めるために、マットンは家族の再生を願った。しかし皮肉にもマットンが消えてなくなることではじめて、残りの家族は柳の大木のもとに食堂を作り再生を果たす。物語の最後、ぺ・テゴンとミエは偶然マットンの家族が経営する食堂で食事をする。ミエは大きな柳の形状から、そこが以前マットンにもらった写真の風景だということに気付き、号泣する。その涙はあらゆる物事が変わってしまった哀しさと、そして変わらないものへの愛おしさの混沌とした涙なのだ。ラストシーン、引いていくカメラは家族の食堂のバックに巨大なマンション群を浮かび上がらせる。再開発はこの店をも飲み込もうとしている。その店はまた、瓦解しつつある韓国の儒教的な価値観の象徴なのだ。癒しはつかの間のものに過ぎないのだろう。しかしこのラストがなおかつ胸を打つのは、つかの間であろうともそれは紛れもない癒しであるからなのだ。
3人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
雰囲気のある小品だけれど・・ 2001/07/31
監督であるイ・チャンドンの近作「ペパーミント・キャンディー」(傑作!)の余韻を未だ引きずっているので、期待して購入しました。始まってスーっと物語に引き込まれる感はあるのですが、うーむ・・・。デビュー作にして、日常的な非日常という世界をうまく演出・映像化するのは流石だと思いますが、全体的にみて小品といった感じです。